中学校 / 50分 / 情報モラル・技術

おすすめのしくみとフィルターバブル

動画アプリやSNSの「おすすめ」は、どうやって決まっている? 紙のゲームでおすすめのしくみを体験し、見えにくくなる情報に気づく方法を考えます。

導入 5|ゲーム 20|解説・班活動 15|共有・振り返り 10

授業時間
50分
人数
2人組→班
端末
不要
更新日
2026-10-01

この授業で目指すこと

  • おすすめは、見た履歴などのデータから、関心を持ちそうな情報を優先して表示するしくみであることを説明できる。
  • フィルターバブル(自分の関心に合う情報ばかりに囲まれ、ほかの見方に気づきにくくなる状態)とエコーチェンバー(似た意見の人が集まり、同じ意見が強まっていく状態)を、体験と結びつけて説明できる。
  • おすすめの便利さを認めたうえで、バブルの外の情報にふれる工夫を自分で選べる。
安全な実施:生徒自身のアプリのおすすめ画面や視聴履歴を見せ合いません。好みや関心は個人の情報なので、ゲームでは架空のジャンルカードを使います。

対象と準備

項目内容
対象中学校1〜3年。技術・家庭(技術分野)の情報の単元、社会(公民的分野)、道徳、学級活動などで実施できます。
時間50分(5分単位の配分は下の「50分の進め方」)
準備物投影スライド、ワークシート(1人1枚。ジャンル一覧・ルール・記録表を含む)
端末不要。
AIサービス使いません。

50分の進め方

  1. 導入:みんなのおすすめは同じ?

    「動画アプリのおすすめは、クラス全員同じだと思う?」と問い、予想を挙手で聞く。画面は見せ合わないことを最初に伝える。

  2. おすすめ係ゲーム(1回戦)

    2人組で「見る人」と「おすすめ係」に分かれ、ワークシートのルールで6回行う。おすすめ係は、示したジャンルと選ばれたジャンルを記録表に書く。

  3. おすすめ係ゲーム(2回戦)と集計

    役割を交代してもう一度行う(5分)。6回目に示されたジャンルが何種類だったかを数え、1回目の6種類からどう変わったかを書く(5分)。

  4. 解説:フィルターバブルとエコーチェンバー

    実際のおすすめは、見た履歴や「いいね」などのデータを組み合わせて、関心を持ちそうな情報を優先して表示していることを説明する。人には、見たいもの・信じたいものを信じやすい「確証バイアス」があり、おすすめと重なると、ほかの見方が見えにくくなる(フィルターバブル)。似た意見の人が集まる場で同じ意見が強まる(エコーチェンバー)。

  5. 班活動:便利さと気をつけたいこと

    おすすめの便利な点と気をつけたい点を出し合い、「バブルの外を見る工夫」を3つ考える。ニュースや災害の情報など、偏ると困る場面も考える。

  6. 共有:バブルの外を見る工夫

    各班から工夫を1つずつ発表し、板書で似たものをまとめる。ゲームで偏りがゆるやかだった組がいれば、その選び方も紹介する。

  7. 振り返り:わたしの工夫

    自分が明日から試す工夫を1つ選び、理由とともに書く。

ゲームのルールと結果の見方(教師用)

ジャンル:A:スポーツ B:料理・おかし C:ゲーム実況 D:科学・宇宙 E:音楽・ダンス F:ニュース・天気(すべて架空のジャンル分けです)

  1. 1回目:おすすめ係は、A〜Fから好きな3つのジャンルを見る人に示す。
  2. 見る人は、示された3つから1つ選ぶ。おすすめ係は、選ばれたジャンルを記録する。
  3. 2回目から:おすすめ係は、これまでに選ばれた回数がいちばん多いジャンルを2つ、2番目に多いジャンルを1つ示す(2番目がなければ、いちばん多いジャンルをもう1つ)。同じ回数なら、最近選ばれたほうを優先する。
  4. これを6回くり返し、役割を交代してもう一度行う。

このルールでは、2回目以降に示されるジャンルが最大2種類になり、見る人が同じジャンルを選び続けると1種類に固定されます。多くの組で「6回目に示されたジャンルは1〜2種類」になります。見る人が意識して2番目のジャンルを選ぶと偏りがゆるやかになる組も出るため、その組の工夫を全体で取り上げると、班活動の「工夫」につながります。

実際のサービスのおすすめは、このゲームよりはるかに多くのデータを使い、新しい種類の情報を混ぜることもあります。ゲームは、しくみを単純にした模型であることを必ず伝えてください。

教師の発問と想定される反応

発問想定される反応つなぎ方
6回目には何種類のジャンルが示された?1種類だけ。2種類。最初は6種類から選べたのに、選んだ結果で見える範囲がせまくなった。
おすすめは悪いもの?便利。好きなものがすぐ見られる。便利さは本当。そのうえで、見えなくなっているものに気づけるかが大切。
偏ると困るのはどんな情報?ニュース。災害の情報。人の意見。意見が分かれる話題や、命や安全に関わる情報は、いろいろな情報源で確かめたい。
バブルの外を見るには?検索の言葉を変える。新聞やテレビも見る。反対の意見を探す。自分で選んで情報源を増やすことはできる。

困ったときの対応

こんなとき対応
自分のおすすめ画面を見せたがる生徒がいる好みや視聴履歴は個人の情報であることを伝え、見せ合わないルールを守らせる。
ルールが分からず、ゲームが進まない組があるスライドのルールを指しながら、1組を前で実演する。おすすめ係の記録だけでも成立する。
「おすすめは使わないほうがいい」に議論が偏る便利さも認め、使いながら気づく工夫を考える授業だと確認する。
時間が足りない2回戦を省き、1回戦の結果だけで集計する。

評価の観点

観点おおむね満足十分満足見取る場面
知識・技能おすすめが履歴などのデータから決まることを説明できる。フィルターバブルとエコーチェンバーの違いを、ゲームの結果と結びつけて説明できる。ワークシート2・3
思考・判断・表現ゲームの結果から、見える範囲がせまくなったことを書ける。偏ると困る場面を挙げ、その理由を説明できる。ワークシート3(班活動)
主体的に学習に取り組む態度バブルの外を見る工夫を1つ選べる。自分の使い方にあてはめて、理由とともに具体的な工夫を書ける。振り返り

おすすめを使うかどうかではなく、しくみを理解して自分で工夫を選べたかを見取ります。共通評価ルーブリックも使えます。

個人情報・著作権・年齢条件・事実確認の注意

  • 個人情報:視聴履歴、おすすめ画面、フォローしているアカウントは、本人の好みや考えが分かる情報です。授業で見せ合ったり、発表させたりしません。
  • 著作権:実在のサービスの画面を投影する場合は、授業の過程での利用の範囲にとどめ、配布資料や学校のWebページには載せません。本教材は文字だけで構成しています。
  • 年齢条件:この授業ではアプリもAIサービスも使いません。動画アプリやSNS、生成AIサービスは、それぞれ利用規約で年齢条件を定めているため、授業で話題にする場合は「使ってよいかどうかは、規約と家庭のルールによる」ことにも触れます。
  • 事実確認:特定のサービスのおすすめのしくみについて、公表されていない内容を断定しません。授業では「一般的なしくみを単純にした模型」として扱います。

保護者・管理職への説明

「特定のアプリを使う・やめる授業ではなく、おすすめのしくみを紙のゲームで体験し、いろいろな情報にふれる工夫を考える授業」であることを伝えます。家庭では、振り返りに書いた工夫を話題にしてもらうよう依頼できます。説明資料の例は学校で生成AIを扱う前ににあります。

根拠と参照資料

フィルターバブル・エコーチェンバー・確証バイアスの説明は、総務省「令和5年版 情報通信白書」の記載に沿って中学生向けに言い換えています。文部科学省ガイドラインのBox-2も、「フィルターバブル等に子供がさらされている」との指摘を踏まえ、発達の段階に応じた情報モラルの育成を求めています。総務省の教材(フィルターバブル&エコーチェンバー、アテンション・エコノミー)は、授業の発展や教師の事前学習に使えます。総務省の教材を講座などで使う場合は、各ページに書かれた利用方法を確認してください。

法律や利用規約の説明は、各資料の記載に沿って要約したものです。個別の事案の判断や最新の条件は、必ず原文と所管の窓口で確認してください。

版と利用条件

教材版:1.0/更新日:2026-10-01/参照資料の確認日:2026-10-01。教材内の投稿・会話・場面・AIの回答例は、すべて授業用に作った架空の事例です。

CC BY-NC 4.0。出典を表示し、非営利目的で改変できます。詳細は利用条件をご覧ください。