高校 / 情報・国語・総合的な探究の時間 / 50分

レポートの出典確認:AIが示した参考文献を確かめる

生成AIは、もっともらしい参考文献を示すことがあります。文献が実在するか、書誌事項が正しいか、主張を本当に支えているかを、順に確かめる手順を練習します。

授業時間
50分
対象
高校1–3年
端末
不要(発展は班に1台)
更新日
2026-10-01

導入 10|照合 20|共有 10|まとめ 10

この授業で目指すこと

対象:高校1–3年(レポートや探究のまとめを書く前)/教科:情報、国語、総合的な探究の時間/所要時間:50分

  • AIが示した参考文献を、「存在」「書誌事項」「主張との一致」「たどれるか」の4点で確認できる。
  • 確認の結果を「確認できた/一部違う(直して使う)/存在を確認できない/存在するが主張を支えていない」に分けられる。
  • 参考文献とAIの利用を、読み手が確かめられる形で書ける。
根拠:文部科学省のガイドライン(Ver.2.0)は、学習課題の一部として生成AIの出力を引用する場合に、利用した生成AIサービスの名称、入力したプロンプト、使った日付などを明示し、文献やインターネットから引用する場合と同様の引用ルールを設けることを例示しています。また、課題研究等でAIを使わせる場合は、情報の真偽を確かめること(ファクトチェック)を求め、引用・参考文献等を明示させることを挙げています。

準備物と端末・AIサービス

  • ワークシート(1人1枚。架空の文献リストと確認カードを含む)
  • ペアまたは3人組
  • (発展)図書館の検索端末、またはCiNii Research・国立国会図書館サーチ・J-STAGEが開ける端末
項目この授業での扱い
生徒の端末不要。確認カードに「調べた結果」を示してあるため、紙だけで照合できます。
AIサービス使いません。AIの回答は架空の固定例です。
発展(任意)自分のレポートの参考文献を、図書館の検索やCiNii Research等で実際に確かめる。

50分の進め方

  1. 導入:そのまま書く?

    「AIが示した参考文献を、そのままレポートに書く?」と問い、挙手と理由を聞く。

  2. 確認の4点

    ①存在する? ②著者・題名・年・発行元は正しい? ③自分の書いた主張をその文献が本当に支えている? ④読み手がたどれる? を板書する。

  3. 照合:架空の文献リストと確認カード

    5つの文献を確認カードと照合し、判定と理由を書く。個人で10分、ペアで10分。

  4. 共有:判定をそろえる

    文献ごとに判定を確認する。特に3(存在するが数値が載っていない)を取り上げ、「文献がある」と「主張を支える」は別だと確認する。

  5. 書き直し:参考文献とAI利用の書き方

    使える文献を正しい書誌事項で書き、AIを使った場合の記載(サービス名・入力・日付)を練習する。

  6. 振り返り

    「次にレポートを書くとき、提出前に必ず確かめること」を書く。

確認の4点と判定

確認すること調べ方の例確かめられないときの判定
① 存在する?図書館の検索、CiNii Research、国立国会図書館サーチ、発行元のサイト存在を確認できない
② 書誌事項は正しい?著者、題名、出版年、出版社・雑誌名・巻号を一つずつ照らす一部違う(直して使う)
③ 主張を支えている?実物を読み、該当するページや表を見つける存在するが主張を支えていない
④ たどれる?URLが開けるか、発行元が分かるか存在を確認できない

4点すべてを確かめられたものだけを「確認できた」とします。

判定の解答例と教師の発問

文献判定理由
1一部違う(直して使う)実在するが出版年が違う。2019年に直し、内容を自分で読んでから使う。
2存在を確認できない雑誌はあるが論文が見つからない。実在する雑誌名と組み合わさると本物らしく見える点に注意。
3存在するが主張を支えていない報告書は実在するが、「平均5.2時間」は載っていない。数値は使わない。報告書に載っている項目(就寝時刻の分布)を根拠にするなら、主張の方を直す。
4存在を確認できないURLが開けず、発行元も分からない。読み手がたどれない資料は使わない。
5確認できた書誌事項が一致し、該当箇所も確認できた。参考にした章を書いておくとよい。

発問と想定される反応

発問想定される反応返し方の例
AIが示した参考文献、そのまま書く?「AIが調べたのだから正しい」「書式がきちんとしているから本物」「書式が整っていることと、実在することは同じ?」と問い、照合の活動へ進める。
文献3は使える?「報告書は本物だから使える」「あなたが書きたい数値は、その報告書のどこに載っている?」と問い、主張と根拠の対応を確認させる。
文献1は年が違うだけ。そのままでよい?「小さな違いだから大丈夫」読み手が文献を探すときに困ること、版によって内容が違う場合があることを伝える。

困ったときの対応

  • 「AIが嘘をついた」と受け止める生徒:生成AIは確率的に文章を作るため、実在しない文献をもっともらしく示すことがあると説明する。意図や悪意の問題ではなく、確認の手順で防ぐものだと整理する。
  • 判定が分かれたとき:4点のうちどこで判断が分かれたかを言葉にさせる。理由が書けていれば判定の違いは認める。
  • 早く終わったペア:発展として、自分が過去に書いたレポートの参考文献1つを、図書館の検索等で確かめる。
  • 端末で調べる場合に、検索結果の要約だけで判断してしまうとき:書誌情報のページや本文そのものを開いて確認するよう指示する。
  • 時間が足りないとき:文献1・3・5を優先する(一部違う/主張を支えていない/確認できた、の典型)。

評価の観点

観点見取る場面十分に達成している姿
知識・技能ワークシート4使える文献を正しい書誌事項で書き、AIを使った場合の記載(サービス名・入力・日付)ができている。
思考・判断・表現ワークシート34点のどれで判断したかを示し、「存在する」と「主張を支える」を区別して判定している。
主体的に学習に取り組む態度振り返り、発展自分のレポートで提出前に確かめる手順を具体的に書いている。

宿題・レポートAI利用評価表と組み合わせて、レポート本体の評価にもつなげられます。

個人情報・著作権・年齢条件・事実確認の注意

  • 個人情報:AIや検索サービスに、自分や友人の氏名、学校名、レポートの評価などを入力しません。
  • 著作権:他人の文章を使うときは、自分の文章と区別し、出典を明示して必要な範囲だけを引用します。AIの出力を使う場合も、AIを使ったことを明記します。生成物が既存の著作物に似ている場合の考え方は、文化庁「AIと著作権について」で確認できます。
  • 年齢条件:生成AIサービスには、利用できる年齢の下限や、未成年の利用に保護者の同意を求める条件を定めているものがあります。条件はサービスごとに異なり、変更されることもあるため、授業で使う場合は、学校(教育委員会)が利用を認めたサービスの最新の利用規約を授業前に確認し、必要に応じて事前に保護者の理解を得ます。この授業は、生徒がAIサービスを使わなくても実施できます。
  • 事実確認:この授業の文献・著者・団体・数値・確認結果はすべて架空です。発展で実在の文献を確かめる場合は、書誌情報のページや本文で確認します。

保護者・管理職への説明

AIの利用の有無にかかわらず、レポートの参考文献を確かめる力を育てる授業です。生徒はAIサービスを使わずに実施できること、レポートでAIを使う場合はサービス名・入力・日付を明記するよう指導していることを伝えてください。

根拠と参照資料

一次資料は確認日時点の内容です。改訂されることがあるため、授業前に最新版を確認してください。教材内の事例・人物・団体・数値はすべて架空です。

版と利用条件

CC BY-NC 4.0。出典表示のうえ非営利目的で改変できます。教材の版:1.0(更新日:2026-10-01)。

AI授業の準備室 / ATM-HS-CITE / 版 1.0 / 2026-10-01 / CC BY-NC 4.0