このワークショップの位置づけ
PTA研修会や保護者会で、保護者が生成AIの特徴を知り、家庭でのAIの使い方を子どもと一緒に決めるための準備をする60分のワークショップです。会の最後に「家庭のAIルール下書きシート」を持ち帰り、家で子どもと話し合って完成させます。
| 対象 | 小学生・中学生の保護者(10〜40人程度)。PTA研修会、学年保護者会、学校説明会の一部として |
|---|---|
| 所要時間 | 60分(短縮版:30分。下の「短縮・オンラインでの実施」を参照) |
| 進行役 | 教員またはPTA役員1名。AIの専門家である必要はありません。 |
| 端末・AIサービス | 不要。進行役が投影するスライドだけで実施できます。 |
| 準備物 | 投影スライド、家庭のAIルール下書きシート(参加者数+予備)、筆記具、付箋(任意)、学校の生成AIの方針を説明する資料(保護者説明資料を改変して使えます) |
ねらい
- 生成AIの特徴(もっともらしい誤り、入力した情報の扱い、年齢条件、画像の加工)を、家庭での場面に結びつけて理解する。
- 家庭のルールを「禁止か許可か」ではなく、目的・場所と時間・入力しないもの・困ったときの相談先の観点で考える。
- ルールを親が一方的に決めるのではなく、子どもと話し合って決め、見直す日を決めておく。
60分の進行案
- あいさつ・目的の共有
今日のゴール(家庭のAIルールの下書きを持ち帰る)と約束(家庭の事情は話したい範囲で、他の家庭の話を外で話さない、正解を決める場ではない)を伝える。
- アイスブレイク:家庭で見かけるAI
近くの2〜3人で「家で子どもがAIを使っている場面、見かけたことは?」「親自身はどう使っている?」を話す。知らない・使っていないも立派な答えであることを伝える。
- ミニ講義:生成AIの4つの特徴
スライドで、①もっともらしい誤りを出す、②入力した内容が事業者に送られる、③多くのサービスに年齢条件や保護者同意の定めがある、④本物そっくりの画像を作れる(人の写真の加工は人を深く傷つけ、犯罪になることもある)、を説明する。学校での扱いを1分で紹介する。
- グループワーク:こんなとき、わが家なら?
4〜5人のグループで、架空の場面カード4枚から2枚を選び、「どうなったら困る?」「わが家ならどうする?」を話す。結論をそろえる必要はなく、考え方の違いを知ることを目的にする。
- 個人ワーク:家庭のAIルール下書き
ワークシートの5つの観点(使う目的、場所と時間、入力しないもの、困ったときの相談先、見直す日)について、親としての案を書く。子どもと話すときに聞きたいことも書いておく。
- 共有(任意)
書いてみて気づいたことを2〜3人が話す。発表は希望者だけにする。
- まとめ・持ち帰り
家で子どもと話して完成させること、見直す日を決めること、困ったときは学校や相談窓口に相談できることを伝え、学校の窓口を案内する。
グループワークの場面カード(架空)
次の4場面は、話し合いのために作成した架空の場面です。スライドとワークシートにも載せています。
| カード | 場面 | 話し合いのヒント |
|---|---|---|
| A | 子どもが「読書感想文、AIに手伝ってもらっていい?」と聞いてきた。 | 学校の課題ではAIの使い方を先生が課題ごとに示す。家庭では「何を手伝ってもらうか」(構成の相談か、文章そのものか)を話す。 |
| B | 夜遅くまで、部屋でAIのチャットと話している様子がある。 | 時間と場所の決め方。AIは否定せずに応答し続けるため、やめどきを決めにくい。悩みがあるなら、人にも話せる関係を大切にする。 |
| C | 子どもが、友達の写真をアプリで面白く加工して、グループに送ろうとしている。 | 本人の同意のない加工・共有は相手を傷つける。性的な加工は犯罪になり得る。受け取った側になったときの行動も話す。 |
| D | 子どもが、学校の友人関係の悩みを、名前を出してAIに相談していた。 | 入力した情報の扱い。自分や友達の名前、学校名、写真は入力しない。悩みは家族や先生にも話してほしいと伝える。 |
進行役のことば(例)
- 導入:「AIに詳しい人も、まったく使っていない人もいると思います。今日は正解を決めるのではなく、家に帰って子どもと話すための材料を持ち帰る時間です。」
- ミニ講義の後:「どれも、使ってはいけないという話ではありません。知った上で、わが家の使い方を決めていきましょう。」
- まとめ:「ルールは親だけで決めず、子どもの考えを聞いてから決めてください。決めたら、学期の終わりなどに見直す日も書いておきましょう。」
困った場合の対応
| 場面 | 対応の例 |
|---|---|
| 「AIは全部禁止すべきでは」という意見が強く出る | 意見として受け止め、「禁止する場合も、学校や社会で出会う場面があることを子どもと話しておく」観点を示す。結論を一つにまとめない。 |
| 特定のサービスのおすすめや是非を聞かれる | 特定のサービスを評価しない。年齢条件、利用規約、データの設定を各家庭で確認する観点を伝える。 |
| 個別の家庭の悩み、特定の子どものトラブルの話が出る | 全体では扱わず、「後ほど個別に」「学校の窓口へ」と引き取る。他の参加者に配慮する。 |
| 画像の加工被害などの深刻な相談がある | 会の後に個別に聞き、学校の管理職へつなぐ。学校の対応は生成AIに関わる校内トラブルの初動対応フローを参照。 |
| 参加者が少ない、話が進まない | グループワークを全体での話し合いに切り替え、場面カードを1枚ずつ進行役が読み上げる。 |
短縮・オンラインでの実施
- 30分版:あいさつ(3分)→ミニ講義(10分)→場面カードを1枚だけ全体で話す(7分)→個人ワーク(7分)→まとめ(3分)。
- オンライン:ワークシートを事前に配布し、グループワークは少人数の部屋に分けるか、チャットで意見を集める。参加者の画面や発言を録画・公開しない。
個人情報・著作権・年齢条件・事実確認の注意
- 個人情報:参加者の発言やワークシートの内容を記録・公開しません。ワークシートは回収せず、各家庭で保管します。会の様子を撮影する場合は、事前に目的を説明し、顔が写らないよう配慮します。
- 著作権:スライドに新聞記事や他者の画像を追加して投影・配布する場合は、権利者の許諾や引用の要件を確認してください(PTA活動は授業の過程での利用には当たりません)。
- 年齢条件:本資料では特定のサービスの年齢を示していません。各サービスの最新の利用規約で、年齢条件と保護者の同意の要否を確認するよう案内してください。
- 事実確認:ミニ講義で数値や事例を追加する場合は、公的機関の資料で確認し、発行元と日付を示してください。
学校・管理職との調整
実施前に、学校の生成AIの利用方針、授業での扱い、問い合わせ窓口を確認し、ワークショップの内容が学校の方針と矛盾しないようにします。PTA主催の場合も、学校の担当者に資料を事前に共有することを勧めます。
根拠と参照資料
文部科学省ガイドラインは、保護者に生成AIの利活用目的やその態様等の情報を提供すること、児童生徒が学校外で生成AIを利活用する可能性も踏まえて不適切な利活用がされないよう周知し理解を得ることを示しています。
- 文部科学省「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)」(2024年12月26日)(2026-10-01確認)
- 文部科学省「学校現場における生成AIの利用について」(2026-10-01確認)
- こども家庭庁「普及啓発コンテンツ」(青少年のインターネット利用)(2026-10-01確認)
- こども家庭庁「各種相談窓口」(2026-10-01確認)
- 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」(2026-10-01確認)
- 文部科学省「生成AIによる画像加工に関する啓発」(警察庁作成の啓発資料「そのAIの使い方、犯罪かも・・・」を掲載)(2026-10-01確認)
- 総務省「インターネットトラブル事例集」(2026-10-01確認)
利用条件と版
CC BY-NC 4.0。出典を表示し、非営利目的で改変できます。詳細は利用条件をご覧ください。教材版:1.0/更新日:2026-10-01/参照資料の確認日:2026-10-01。
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