この授業で目指すこと
対象:小学校5・6年 教科等:総合的な学習の時間、国語(相手や目的を意識して伝える学習との関連)、情報モラルの時間 時間:45分
- AIへのたのみ方に「目的(何のため)」「相手(だれ向け)」「条件(数・時間・形)」を入れると、返ってくる答えが変わることを説明できる。
- AIの答えは、同じ質問でも毎回同じとは限らず、まちがうこともあると知り、教科書・図鑑・公的機関の資料で確かめようとする。
- 名前・住所・友達の秘密など、たのみ方に入れてはいけない情報を見分けられる。
準備するもの
- 投影スライド(HTML・印刷可):たのみ方と回答例を収録しています。
- 児童用ワークシート(A4 1枚)
- 理科の教科書・資料集、または図鑑(活動3で使います)
端末:不要です。AIサービス:使いません。
教師が実演したい場合は、学校で認められたサービスを使い、授業前に教師が同じたのみ方を試して回答を保存しておき、授業ではその記録を見せる方法をおすすめします。その場で入力する場合も、児童の名前や学校名は入れません。回答は毎回変わるため、スライドの回答例と違っても問題ありません。
45分の進め方
- 導入:人にたのむときを思い出す
スライド1・2。友達に「あれ取って」とだけ言われたら困る経験を話し合い、「AIにたのむときも同じ?」と問う。
- 活動1:二つのたのみ方をくらべる
スライド3・4。「ゲームを教えて」と「小学5年生30人が教室で20分遊べる…」の回答例をくらべ、どちらがお楽しみ会で使えるか、なぜかをワークシート1に書く。
- まとめ1:たのみ方の三つの工夫
スライド5。「目的・相手・条件」を板書し、たのみ方2のどこに入っているかを線で結ぶ。
- 活動2:たのみ方を書き直そう
スライド6・7。班でお題A・Bを書き直し、入れてはいけない情報が入っていないかを確かめる。
- 活動3:返ってきた答えを確かめよう
スライド8・9。同じ「月までのきょり」の質問に二つの違う回答例が返ってきた場面。どちらを信じるか、何で確かめるかを考え、教科書や図鑑で調べる。確かめ方を三つに整理する。
- 振り返り
スライド10。「AIにたのむとき、わたしは__。答えが返ってきたら__。」をワークシート4に書く。
教師の発問と想定される反応
| 発問 | 想定される反応 | つなぎ方 |
|---|---|---|
| 友達に「あれ取って」とだけ言われたら? | 何を?と聞き返す/まちがえて別の物を取る。 | 人は聞き返してくれるが、AIは聞き返さずにそれらしい答えを出すことがある。 |
| 二つの回答例、お楽しみ会で使えるのはどっち? | たのみ方2。教室でできて、道具も紙とえんぴつだけだから。 | 人数・場所・時間・道具という「条件」が入ると、目的に合った答えになりやすい。 |
| お題Bで、先生の名前を入れてもいい? | 入れたほうがいい手紙になる/名前は入れないほうがいい。 | 名前は入れずに「担任の先生」などと書き、できた文をヒントに自分で書く。 |
| 月までのきょり、どちらの答えを信じる? | 数字が大きいほう/分からない。 | AIの答えだけでは決められない。教科書・図鑑・宇宙の研究機関の資料で確かめる。 |
| AIに宿題の答えを全部作ってもらえばいい? | 楽になる/自分の力にならない。 | 学ぶのは自分。AIの答えをそのまま自分の作品や答えとして出さない。 |
答えと解説
- 活動1:たのみ方2は「目的(お楽しみ会)」「相手(小学5年生30人)」「条件(教室・20分・紙とえんぴつ・3つ)」が入っているため、そのまま検討できる答えに近づきます。たのみ方1の回答例には、教室でできないものや道具が必要なものが混ざっています。
- 活動2 お題A(書き直しの例):「小学5年生です。画数の多い漢字がなかなか覚えられません。1日10分でできる覚え方を3つ教えてください。」
- 活動2 お題B(書き直しの例):「卒業する6年生が、お世話になった担任の先生に書くお礼の手紙で、書き出しの例を2つ教えてください。」名前・学校名・思い出の具体的な出来事は入れず、できた文をヒントに自分の言葉で書くことを確認します。
- 活動3:地球から月までのきょりは、平均で約38万kmです(JAXA宇宙科学研究所キッズサイトでは「36~41万km 平均38万km」)。回答例2の「約3万8千km」は、けたがまちがっています。生成AIは同じ質問にも違う答えを返すことがあり、まちがった答えも自然な文で返すことがあるため、教科書や図鑑など確かな資料で確かめます。
困ったときの対応
- 家でAIを使っている児童が使い方を話し始めたとき:否定せず、「家の人といっしょに使っている?」と確かめ、サービスには年齢の条件があることを伝えます。
- 書き直しが進まない班:「だれ向け?」「何に使う?」のどちらか一つだけを足してみるよう声をかけます。
- 「AIに聞けば調べなくていい」という発言:活動3の二つの回答例に戻り、どちらが正しいかをAIの答えだけで決められるかを問い返します。
- 教科書や図鑑に月のきょりがのっていないとき:教師がJAXAのキッズサイトの記述を投影し、「どこが出した情報か」を一緒に確認します。
評価の観点
| 観点 | 十分満足 | おおむね満足 |
|---|---|---|
| 知識・理解 | 目的・相手・条件を入れると答えが変わる理由を、活動1の回答例を使って説明できる。 | たのみ方によって答えが変わることを知っている。 |
| 思考・判断 | お題A・Bを、三つの工夫を使い、入れてはいけない情報を除いて書き直している。 | 三つの工夫のうち一つ以上を使って書き直している。 |
| 態度 | AIの答えを確かめる方法を、具体的な資料名とともに書いている。 | AIの答えをそのまま信じず、確かめると書いている。 |
共通評価ルーブリックも参照できます。
個人情報・著作権・年齢条件・事実確認の注意
- 個人情報:たのみ方に、名前・住所・電話番号・学校名・顔写真・友達の秘密を入れません。個人情報保護委員会は、生成AIサービスに個人情報を入力する際の注意を公表しています。
- 著作権・成果物:作文や感想文をAIに作らせてそのまま提出しないことを確認します。文部科学省ガイドラインは、生成物をほぼそのまま自己の成果物として提出することを不適切な例に挙げています。
- 年齢条件:主要な生成AIサービスは、小学生が自分のアカウントで単独に使うことを想定していません。OpenAIの利用規約は13歳以上(18歳未満は保護者の許可が必要)、MicrosoftのCopilot利用規約は少なくとも13歳以上としています。GoogleのGeminiアプリは、13歳未満の場合、保護者がファミリーリンクで管理するアカウントでアクセスを有効にする必要があります。条件は変わるため、授業の直前に最新の利用規約を確認し、学校設置者の方針と保護者の理解を前提にしてください(2026-10-01確認)。
- 事実確認:スライドの回答例は授業用の作例です。実際のAIの答えも、教科書・図鑑・公的機関の資料で確かめてから使います。
保護者・管理職への説明
この授業は、端末や生成AIサービスを使わず、授業用に作った回答例で、たのみ方の工夫と答えの確かめ方を学びます。ご家庭でAIを使う場合は、サービスの年齢条件を確認し、保護者といっしょに使うこと、個人情報を入れないこと、答えを確かめることを話し合っていただくようお願いします。
根拠と参照資料
文部科学省ガイドラインは、小学校段階での直接の利活用には慎重な見極めが必要とし、教師による生成AIとの対話内容を数多く提示するなどして基本的な事項を学ぶことを例示しています。また、生成AIの出力からファクトチェックを要する箇所を見いだす力を養うことの重要性を示しています。
- 文部科学省:生成AIの利用にあたって(学校現場における生成AIの利用について)(2026-10-01確認)
- 文部科学省:初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver.2.0、令和6年12月26日)(2026-10-01確認)
- 個人情報保護委員会:生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について(2026-10-01確認)
- JAXA宇宙科学研究所キッズサイト「ウチューンズ」:月・月の見え方(2026-10-01確認)
- OpenAI:利用規約(最低年齢)(2026-10-01確認)
- Microsoft:Copilot 利用規約(Copilotを使用できるユーザー)(2026-10-01確認)
- Google:お子様による Gemini アプリの利用をサポートする(2026-10-01確認)
版と利用条件
教材版:1.0(ATM-ELEM-102)/更新日:2026-10-01/一次資料の確認日:2026-10-01。
CC BY-NC 4.0。出典を表示し、非営利目的で改変できます。詳細は利用条件をご覧ください。学校や地域の方針に合わせて、発問や例を変えて使ってください。